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『Nobody's Perfect Japan』設立までの経緯

1.カナダ生まれの子育て中の家族支援プログラム“Nobody’s Perfect”は、1980年カナダ保健省と大西洋4州の保健部局により開発され、1987年よりカナダ全土に導入、実施されるようになったプログラムです。

 

 このプログラムの親向けテキスト『Nobody’s Perfect(完璧な親なんていない!)』は、保健師やカウンセラー、ソーシャルワーカー、コミュニティーワーカーなど地域で実際に子育て支援をおこなっている人たちが作り上げたものです。それも何度も改訂を重ねたものですから、「こういうことが知りたかった」「こういうことを言って欲しかった」と納得できる箇所が随所にあります。

2.“Nobody’s Perfect”に出会った『コミュニティー・カウンセリング・センター』(通称:『C.C.C.』)代表の三沢直子(明治大学文学部教授、臨床心理士)が、2002年8月に“Nobody’s Perfect”の親向けテキスト『Nobody’s Perfect』とファシリテーター向けガイドブック『Working with Nobody’s Perfect : A Facilitator’s Guide』を、それぞれ『完璧な親なんていない!』と『親教育プログラムのすすめ方 ─ ファシリテーターの仕事 ─ 』(ともに、ひとなる書房)として、監修・発刊しました。

 そして、2002年9月には、カナダより“Nobody’s Perfect”のスーパー・トレーナーであるバーバラ・オローク氏を招き、日本最初の「NPファシリテーター養成講座」を『C.C.C.』が主催し、開催しました。この講座は、4日間連続講座です。そして、13人のNPファシリテーターが誕生しました。

3.一方、『こころの子育てインターねっと関西』の事務局長、原田正文(大阪人間科学大学社会福祉学科、精神科医)は、2002年の夏、2カ月間米国ミネソタ州のミネアポリスに滞在し、いろいろな分野の施設や行政、NPOなどを視察してきました。いろいろと学ぶところがあったが、その中のひとつに「ECFE(Early Childhood Family Education)」という乳幼児のいる親教育プログラムがありました。

 原田はつい2年ほど前までは、親が親として育つには、「グループ子育て」などで、親同士が自主的に学び合うしかないと考えていました。というのは、対象者があまりにも多く、しかもテーマが「子育て」という日常の営みだからです。「専門職が直接かかわって、‥‥」というにはあまりにも仕事量が多すぎると考えていました。

 それはそのとおりですが、ここ1・2年で体験したいくつかのことや子育て現場の訴えを聞く中で、原田の考えは少しづつ変わりました。何が変わったか、と言いますと、「もう少し積極的に、しかもていねいに親育てをしていくべき時代になっているのではないか」と感じ始めたことがひとつです。もうひとつは、その方法として「カナダや米国で20年来進めているグループワークという手法が日本でも有効なのではないだろうか」という点です。無理だと考えていた「親育てプログラム」の実施について、少し希望がもてるようになったことです。

4.原田正文が2002年9月末に帰国しますと、上記の『完璧な親なんて、いない』『親教育プログラムのすすめ方』という三沢直子:監修の2冊の本が自宅に届けられていました。その内容が、ミネソタでECFEなどの視察で感じていたことそのものだったため、原田はさっそく東京の明治大学の研究室に三沢直子を訪問しました。そして、原田は“Nobody’s Perfect”プログラムをどのように展開しようとしているのか、三沢に話を聞き、『こころの子育てインターねっと関西』の活動について三沢に説明をしました。

 三沢は、「きっちりとしたファシリテーターを日本で養成し、広げていきたい」という意向を原田に伝え、すでに9月にカナダから、ファシリテーターを養成するトレーナーの資格を持ち、長年実践されているバーバラ・オローク(Barbara O'Rouke )氏を招き、ファシリテーター養成講座を開催したことを告げました。

5.その後、何度か、三沢、原田を中心に今後の“Nobody’s Perfect”の日本での展開について相談しました。そして、今後協力して“Nobody’s Perfect”をすすめていくことで合意しました。

  『こころの子育てインターねっと関西』では、2002年7月に第17回フォーラムとして、「“Nobody’s Perfect”プロジェクトの旗揚げ記念講演会」を開催しました。三沢直子『C.C.C.』代表を招き、「今なぜ 親支援プログラムなのか ─ 日本の親子の現状より ─ 」と題した記念講演をしていただきました。このフォーラムには多数の参加者があり、親支援プログラムに対する大きな関心と期待を実感しました。

 2003年9月には、再びカナダからバーバラ・オローク氏を招きました。そして、東京ではNPファシリテーターを養成できる資格である「NPトレーナー」の養成講座が『C.C.C.』主催で開催されました。また、大阪では『こころの子育てインターねっと関西』主催で、「NPファシリテーター養成講座」が開催されました。

6.このような経過の中で、日本における“Nobody’s Perfect”を統括する組織の必要性を感じるようになりました。「“Nobody’s Perfect”プログラムが、日本のどこで、いつ、誰が、どのように、実施しているか、を把握し、統括すること」の必要性は、バーバラ・オローク氏が私たちに強く求められたことでもあります。このような流れの中で、『Nobody’s Perfect Japan(通称:NP-Japan)』設立に向けた準備がはじまりました。

 そして、2004年1月にカナダ保健省から、日本でのファシリテーター研修の「認定証」について、NP-Japanとして出してかまわないとの返事が届きました。
 NP-Japanは、“Nobody’s Perfect”プログラムをすすめるファシリテーターの認定機関として、事務局を『C.C.C』内におき、2004年4月に正式に活動を始めました。

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